東工大生の数学・物理の勉強日記とか

【三角比】正弦定理の証明を東工大生がわかりやすく解説!

高校数学の三角比の単元では、正弦定理という定理を習いますよね。
一見これはとても複雑そうな定理に見えますが、実は意外と簡単に証明できてしまうし、使い方も一度わかれば簡単なのです!

さて、それでは正弦定理について一緒に考察していきましょう!

正弦定理の復習

まずは正弦定理とはどんな定理だったか復習しましょう。

定理(正弦定理)
 ABCに対して、 BC = a ,  CA = b ,  AB = c とし、外接円の半径を  2Rとすると、
 \dfrac{a}{\sin A} = \dfrac{b}{\sin B} = \dfrac{c}{\sin C} = 2R   が成り立つ。

一見よくわからない定理ですよね。でも安心してください!
一緒にゆっくりと考えていきましょう!

証明

それでは証明を追っていきましょう!


 \dfrac{a}{\sin A} = 2R さえ証明できれば、
同じやり方で  \dfrac{b}{\sin B} = 2R と  \dfrac{c}{\sin C} = 2R も証明できるので、
 \dfrac{a}{\sin A} = 2R を示せば十分ですね!

 ABCが 1⃣鋭角三角形 2⃣直角三角形 3⃣鈍角三角形 の3通りに分けて考える。

1⃣鋭角三角形のとき
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 A'Cが外接円の中心を通るように、点 A'を考えます!

図のように外接円の中心 O、点 A'をおくと、円周角の定理から、

 \angle BAC = \angle BA'C と

 \angle A'BC = 90^{\circ} がわかる。

また、 A'C は外接円の直径なので、  A'C = 2R である。

したがって、△ A'BC に注目すると、

 \sin A = \sin BA'C = \dfrac{a}{2R}

 ∴\dfrac{a}{\sin A} = 2R を得る。

2⃣直角三角形のとき
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これはほぼ自明ですね!

円周角の定理から、 BCは外接円の直径なので、

 BC = a = a\sin 90^{\circ} = a\sin A = 2R となる。

よって、 \dfrac{a}{\sin A} = 2R を得る。

 \sin 90^{\circ} = 1です。

3⃣鈍角三角形のとき
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ラストです!1⃣と同様に考えますが、必要な知識は少し増えますよ!

図のように外接円の中心 O、点 A'をおく。

円に内接する四角形の対角の和は180°なので、

 \angle A' = 180^{\circ} - \angle A

円周角の定理から、

 \angle A'BC = 90^{\circ}

であり、 A'Cは外接円の直径ゆえ、

 A'C = 2R

がわかる。よって、△ A'BCに注目すると、

 \sin BA'C = \sin (180^{\circ} - A) = \sin A = \dfrac{a}{2R}

 ∴\dfrac{a}{\sin A} = 2R が得られる。         ■

※公式 \sin (180^{\circ} - θ) = \sin θを用いました。

まとめ

以上のように正弦定理は証明できます!ついてこれましたか?

3通りの場合分けをしないといけないことが多少面倒ですが、正弦定理も結局は今まで知識の積み重ねだということです。

鈍角三角形の場合の証明は重要知識のオンパレードですので、三角比の演習問題としては良問かもしれません。

それでは、最後まで読んでいただき、ありがとうございました!