東工大生の数学・物理の勉強日記とか

【誰でもわかる】フーフーすると熱い液体が冷めるのはなぜ?原子・分子レベルで理解する。

とある東工大生です。

今回はフーフーすると液体の温度が下がる理由を解説してみようと思います!

とある本でこれを読んだのですが、何気なくやっていたフーフーにはこんな科学があったのか!と思いとても感動しました笑。これを読むことで、これからあなたは誇り高きフーフーをすることができるのです!

【結論】冷める理由

順々に書きたい気持ちはやまやまですが、もう結論から言ってしまいましょう。フーフーすると熱い液体が冷める理由は、「フーフーすることで周囲の湿った空気が入れ替えられ、液体の(正味の)蒸発量が多くなるから」ということです!

蒸発が多くなると冷たくなるのは他にも体験としてありませんか?例えば夏の暑い日には打ち水と言って、地面に水を撒きますよね。あれは水が蒸発することで周囲の熱を奪うから涼しくなるのです。フーフーすると液体の温度が下げるのは、湿った空気を入れ替えることで、この効果を促進しているからなのですね!

手っ取り早く知りたい人はこのくらい理解していれば十分だと思います。しかし、科学を学ぶ者としてはこれで満足できるでしょうか!?(いやできない! )以下ではさらに詳しく解説していきます!

なぜ蒸発すると温度が下がるか?

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そもそも液体の水と気体の水(水蒸気)は何が違うのでしょうか?

答えを言ってしまいましょう。
気体の水(水蒸気)では、水分子がバラバラになってビュンビュン飛び回っています。
一方液体の水では、水分子が引きつけ合いながら、それなりに動いています。(分子間には引力が働きます。気体では動くのが速すぎるので、引力がほとんど無視できます。)

さて、それでは水の表面を考えてみましょう。通常、表面の水分子は液体側に引きつけられるので、外に出ていくことはできません。しかし、他の分子に衝突されたりして、とても速い水分子が表面に向かったらどうなるでしょうか?この水分子は他の水分子からの引力を振り払って、外に出ていくことができます。これが蒸発なのです!

そして、外に出ていく水分子は速く、平均よりもエネルギーを持っているので、液体の水のエネルギーは外に出ていきます。したがって、蒸発すると液体の水の温度は下がるのです!

"正味の"蒸発量が増えるとは?

これで蒸発量が増えると水の温度が下がることが理解できましたね。それでは次に、フーフーすると"正味の"蒸発量が増えるとはどういうことか解説してみます。

さっきは「液体の水から速い水分子が飛び出していく」ということを言いましたね。よく考えれば当然ですが、その逆もまた然りです。つまり、「気体中の水分子が液体の水に入っていく」ということも起きます。この液体に入っていく水分子は、液体中の水分子に引っ張られるので、とても速いです。したがって、液体に気体中の水分子が入っていくと液体の水は温まります。さっきとは完全に逆の話ですね!

当然、空気中に水分子が少ないと、液体に入っていく水分子は少なくなります。したがって、フーフーして湿った空気の入れ替えを行うことで、気体から液体に入っていく水分子が少なくなるので、この温まる効果を抑制することができるのです!

このような事情を「"正味の"蒸発量(つまり、蒸発量 - 液体に戻る量)が増える」という一言で表現していたのです。納得いったでしょうか?

まとめ

もう一度、フーフーするとスープが冷める理由を書いておきましょう。

フーフーすると熱い液体が冷める理由は、「フーフーすることで周囲の湿った空気が入れ替えられ、液体の(正味の)蒸発量が多くなるから」ということです。

何気なくやっていたフーフーにこんな素晴らしい科学があったのかと感動するばかりですね。この記事を通してあなたも私の感動を味わってもらえたなら、とても嬉しいです。

なお、この記事の内容は以下の本を参考にしました。非常にユニークな物理の教科書ですので、興味のある人はぜひ読んでみてください。

ファインマン物理学〈1〉力学

ファインマン物理学〈1〉力学

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!